本やボードゲームを入口にしたブラインド勧誘が横行

世界的な起業家&投資家&大富豪ロバート・キヨサキ。
自らの経験に基づいたビジネス書「金持ち父さん 貧乏父さん」は大ベストセラーで関連のボードゲームも人気です。
シリーズは数冊ありますが、ものすごくざっくりまとめると、
- お金の稼ぎ方には4種類あるということ。
- 給与所得だけで生きていると夢をかなえることができず貧乏なままで人生終わってしまう。
というような内容です(ものすごくざっくりまとめているのでご容赦ください)。
内容の一部に「ネットワークビジネスの持つ教育システムは素晴らしい」というようなことや「大きなチャンスと学びがある」という解説が含まれているため、ネットワークビジネスに関わる人からの絶大な指示も得ています。
「金持ち父さん」シリーズをグループメンバーズには必ず読むように指示している、というネットワーカーも多く、ネットワークビジネスにおいてはバイブル・課題図書のようなものといっても過言ではないでしょう。
実際、ネットワーカーの方が誰かを勧誘する際、
- 「世界的な富豪の人もネットワークビジネスを悪いものじゃないっていってるよ」
- 「労働収入じゃない稼ぎ方の大切がわかるから、この本を紹介するね」
としている光景もよく見ます。
ネットワーカーのAさんが、お友達のBさんにビジネスの勧誘をして、賛同を得るために本の紹介もして…というのは、一つの勧誘の手法であり、ここに問題はありません。
しかしながら、この流れが逆になると話は変わってきます。例えば

- 「金持ち父さん、貧乏父さんっていう本の読書会があるんだけど、出てみない?」
- 「金持ち父さん、貧乏父さんの作者が考えたボードゲーム会に行こうよ!」
- 「お金との付き合い方を学べるセミナーがあるんだけど、どう?」
こんなセリフで誘い出して、その先には本の勉強会はそっちのけ。
参加者も半分ぐらいはネットワーカーでサクラのようなもので、メインはネットワークビジネスの勧誘だったりすると、これは完全に違法です。
特定商取引法で禁止されている。 目的隠匿型勧誘。
いわゆるブラインド勧誘にあたります。
副業・副収入に期待する人を甘く誘い出す罠

実はこうした金持ち父さん・貧乏父さんをきっかけにした「ブラインド勧誘」はコロナ禍に入ってから、爆増しました。
おそらく、コロナ禍に入って、投資や副業を真剣に考えるようになった人を取り込もう!という下心が発端になっているのでしょう。
オンライン、リアル両方で、「金持ち父さんから学ぶセミナー」「金持ち父さん ゲーム会」なるものが多発し、なかには1回500円から1000円の参加料をとるものもあります。
フェイスブックやインスタで募集したり、勉強会やイベント、セミナーなどの告知サイトとして有名な「こくちーずプロ」などでも横行し、募集告知の乱発もよく見られた光景です。
ひどいものだと「読書会や勉強会に10回参加したら、特別セミナーに参加できるの。そこで最終的にちゃんと内容を理解しているかどうか面談をして、合格したら具体的な稼ぎ方を教えてもらえるのよ」というやり口まで登場(もちろん具体的な”稼ぎ方”として登場するのはネットワークビジネスです)。
くどいようですが、これらは典型的なブラインド勧誘です。
これらはあっという間に問題となり消費者相談センターにも多くの通報が寄せられました。
センター側も危険な状況だと判断し、指摘のあったネットワークビジネス会社には厳重注意が下したのはもちろん、他のネットワークビジネス会社へも事例の共有がなされたほどです。
絶えないブラインド勧誘のあれこれ

とはいえ、「金持ち父さん」をダシにしたブラインド勧誘はいまだ後を絶ちません。
まったくネットワークビジネスだと思わせない講座を頻繁に開き、フタを開ければネットワークビジネスへの勧誘…。
しかしながら、まんまとだまされて参加したにも関わらず、怒ったり、退場したりするのでもなく、なぜかその場で契約にまで至る人が一定数いるのも事実です。
周りのみんなから「チャンスだ」とか「人生を変えるきっかけだ」「一緒に頑張ろう」と盛り上げられてしまうと、「そうなのかな?」「決断するなら今なのかな」などと勘違いしてしまうのでしょう。
ちなみに真面目で人に気を遣いがちで優しい人ほど「カモ」にされ、取り込まれやすいのでご注意を。

「金持ち父さん 貧乏父さん」が名著であることを否定はしませんが、おかしなグループに関わって、本にあるような「豊かな未来」だの「安定した不労所得」だのにつながる可能性はほぼ0%だということを肝に銘じてください。
場の雰囲気にのまれやすいという自覚がある方なら「金持ち父さん」関連のイベントには最初から近寄らない、ぐらいの警戒をした方がいいでしょう。
もし、「金持ち父さん」をダシにした違法勧誘を受けたときは速やかに退席してください。
その場の空気の気まずさなど気にする必要はありません。
そしてやることはただ一つ。
消費者相談セミナーしてください。
くれぐれも加害者にはならないように。